館長 玉井征山
沖縄少林流空手道 六段

拳武館は、2022年から宮崎県宮崎市学園木花台で、2025年からはオンラインも含めて活動している、沖縄少林流空手の道場です。元は、師である範士十段 藤田剛山先生が、兵庫県神戸市で開いた道場でした。
生来飽きっぽい性格であった私が、沖縄空手と師のおおらかさ、そして技の奥深さのおかげで、長い探求の道を歩み続けることができました。今度は私が、皆さんの武術探求の道案内として、共に歩んでいきたいと思っています。
沖縄少林流空手道 六段 拳武館 館長 玉井征山
これまでの歩み
- 1983年宮崎県宮崎市に生まれる
- 1992年宮崎市の実戦空手道場で空手を始める
- 2000年神戸市の沖縄少林流空手道 拳武館 藤田剛山先生に師事
- 2008年英国からの留学生の指導を担当
- 2010年スポーツジムでインストラクターとして勤務
- 2019年範士十段 藤田剛山先生より六段と武号「征山」を賜る
- 2022年宮崎市学園木花台で拳武館を開設
- 2025年拳武館オンライン道場を開設

幼少期から友達との遊びや運動が好きでしたが、それ以上に絵を描いたり工作を楽しんだりする内向的な面のある子供で、図鑑や歴史書を眺めては様々なことに好奇心を抱いていました。転居の多い環境で育つ中、住む場所ごとに変わる遊びやスポーツの流行に、落ち着かない気持ちを抱えていました。
そうした中で沖縄空手と出会い、場所や時代に左右されない普遍的な価値と、身を守るという本質的な意味を持つ武術を発見したとき、幼少期からの探求心が初めて真の対象を見つけ、生涯をかけて学び続ける道に巡り合えました。
「打った側が痛がってどうするね?」
1992年、宮崎県宮崎市の実戦空手道場で空手を始めました。幼少時の私は体が非常に小さく、技術は身についていたものの、手足に防具をつけ急所への攻撃が反則となる競技ルールでは、体格に勝る相手との組手で判定負けを重ねていました。
転居後、住まいから最も近い空手道場が、沖縄少林流空手道 拳武館でした。体験入門の際、組手で師の技を目の当たりにし、衝撃を受けました。師は私の打撃の起こりに手足を添えて技を封じ、私の回し蹴りや突きに拳を合わせて、立つのが困難になるほどの効果を与えました。師は「打った側が痛がってどうするね?」と笑いながらおっしゃいました。
師はさらに、立ちながらの腕相撲を提案されました。私は平均的な体格になり筋力もあったのですが、両手を使って挑んだにもかかわらず、師の片手に投げ飛ばされてしまいました。師は筋骨隆々ではありましたが私より10cm以上背が低く、当時で齢は60でした。その瞬間、即日入門を願い出ました。
入門後は藤田先生のもとで日々鍛錬に励みながら、後輩の指導に携わりました。基礎稽古と型を中心とした多様な練習法に加え、沖縄の伝統武器、約束組手、そして故意の金的攻撃と素手での顔面攻撃のみを除く実戦的な組手を行っていました。他流派では反則とされがちな投げ技や肘打ちも含む、包括的な技術体系を学びました。
師は私を含む少数の高段位の門下生に「我々は真に強くなりたい者の集まりである」と仰り、それはまさに私が求めていたものでした。
範士十段 藤田剛山先生
鹿児島県奄美大島の出身。幼少時に神戸へ移り、浦上天山先生のもとで沖縄少林流空手を修行されました。長年にわたって、国内外で多くの門下生を指導されました。
先生の道場には、本当にさまざまな方がいらっしゃいました。小さな子ども、学生、健康のために参加した女性の方々、特別な配慮が必要な小学生、海外からの留学生、持病をお持ちの方、数か月に一、二度しか参加できない船乗りの方、若い頃は参加する勇気を持てなかったご年配の方、そして長年の門下生まで、色々な方が同じ時間、同じ場所で等しく稽古をしていました。先生は分け隔てなくおおらかで、そして真摯な指導をされていました。
小柄な体格でありながら驚異的な身体能力をお持ちで、通常の倍以上の重さがある特注のサイ(沖縄の伝統武器)を自在に操られました。NHKの武術特集番組では、このサイによる演武を披露されています。80歳近くになっても稽古で縄跳びをされるなど、生涯現役の武術家として、門下生の手本となる方でした。
首里手の系譜
拳武館の稽古は、喜屋武朝徳先生から続く首里手(少林流)の流れをくんでいます。
喜屋武朝徳(1870–1954)
戦前の首里手(少林流)を代表する大家の一人。首里の士族の家系に生まれ、幼少より琉球古来の「手(ティー)」を学ぶ。
島袋善良
沖縄県出身。喜屋武朝徳先生に師事して首里手を修め、少林流聖武館を設立。
浦上天山
熊本県出身。細川藩の武術指南役の家系に生まれ、幼少より各種の武術に親しむ。島袋善良先生より沖縄少林流空手を学び、藤田先生へ伝える。
藤田剛山
範士十段。鹿児島県奄美大島出身。神戸で浦上天山先生に学び、拳武館を開く。
玉井征山
六段。藤田剛山先生より武号「征山」を賜り、宮崎で拳武館を開く。
天山・剛山・征山と、武号に「山」の一字を受け継いでいます。

今より、少しでも良く
私は、人や物事が少しでも良くなる瞬間に立ち会えることを、何よりも大切に思っています。それがどんなに小さな一歩であっても、今この瞬間より良くなることには、等しく美しい価値があると感じています。
空手でいえば、達人が最後の技を完成させることも、まったくの未経験者が初めて拳を握って初心者になることも、「今より良くなる」という点では同じように尊いものです。
私自身が理由や意味を大切にしたい性格なので、指導では練習の意味をきちんと説明し、お一人おひとりの個性を大切にしながら、それぞれのペースや適性に合わせることを心がけています。
師である藤田剛山先生のお人柄や、沖縄空手が持つ文化的背景には、おおらかで多様な個性を受け入れる懐の深さがあると感じています。この温かく包容力のある武術の精神を、指導を通じて皆さんに感じていただきたいと考えています。
寸勁
引き手なし、至近距離からの一撃。
予備動作、自重、重心移動に頼らず高い威力を生み出すには、純粋な武術技量が必要となります。
館長 玉井征山による実演(YouTube)。ほかの動画はYouTubeのチャンネルで、館長の連載はnoteでご覧いただけます。
